
こんにちは、猫写真家の雨樹一期です。
猫雑誌の撮影や、出張での猫ちゃん・ワンちゃんとの家族撮影、カメラの個人レッスンを中心に活動しています。
当ブログではペットの撮り方についてのコラムも多数配信しております。
以下は、「猫ちゃんのかわいい撮り方|テクニック編」となります。
さて、愛猫を撮ろうとしてカメラを向けた瞬間、
すっと別の部屋に行ってしまう
隠れて出てこない
シャッター音で逃げる
カメラから目をそらす
そんな経験をしたことはありませんか?

「怖がらせたかな」
「嫌われたのかな」
「自分の撮り方が悪いのかな」
そう感じてしまう飼い主さんも多いと思います。
でも、ご安心ください。猫がカメラを嫌がるのは、とても自然なことです。
実は、プロの撮影現場でもカメラを嫌がる猫ちゃんは普通にいます。
だからといって、無理に抱っこして何度も連れてきたり、追いかけ回したりはしません。
たしかに、連れてきた一瞬で撮れるかもしれません。
でも、それを繰り返すと、猫ちゃんにとっては大きなストレスになってしまいます。

ちなみに、我が家には歴代ニャンコも含めて匹いますが、誰もカメラを嫌がりません。
それには、いくつかの理由があります。
この記事では、
なぜ猫はカメラを嫌がるのか
無理に撮影するとどうなるのか
撮影時に気をつけたいポイント
飼い主さんが自分を責めなくていい理由
そんなお話を猫写真家の立場から正直にお伝えします。
撮り方のテクニックではなく、猫とどう向き合うかという「考え方」のお話です。
「うちの子、全然撮れないんです…」
そんなふうに悩んでいる方の気持ちが、少しでも軽くなれば嬉しいです。
そして実践していただくことで、きっと今よりも「撮影させてもらえる時間」が増えていくと思います。
また、ここからお話しする内容は、猫ちゃんを家族として大切に想っている方を前提にしています。
もくじ
猫がカメラを嫌がるのは「普通のこと」

猫は、大きなものや突然音が出るものを本能的に警戒します。
掃除機やドライヤーが苦手な猫ちゃんが多いのは、その代表例ですね。
カメラも、猫にとっては同じです。
飼い主さんの手よりも大きな、黒くてよく分からない物体。
それを目の前に近づけてくる。しかも、構えた瞬間に「カシャッ」という音が鳴る。
人間に置き換えて考えてみてください。
正体の分からない大きな物が急に近づいてきて、いきなり音が鳴ったら…
ギャーーっと叫びますよね。

猫がカメラを避けたり、目をそらしたり、距離を取るのは、ただちゃんと警戒しているだけ。
それは猫として、とても自然な反応なんです。
シャッター音・動き・視線が警戒心につながる

猫がカメラを嫌がる理由は、カメラそのものだけではありません。
音・動き・視線、この3つが同時に起こることも大きな要因です。
シャッター音は人にとっては小さな「カシャ」という音でも、猫にとっては突然鳴る正体不明の音。
「今の音、どこから!?」と思っているかもしれません。
▶︎猫がシャッター音を嫌がる理由とは?|猫写真家が教える原因と対処法
また、猫は変化にも敏感。病院などの知らない場所に連れていかれることだけでなく、トイレの位置を変えるだけでもストレスを感じます。
それと同じように、飼い主さんのちょっとした挙動の変化も感じとっています。
病院へ連れて行く日、まだ何の準備もしてないのに事前に察して隠れてしまう。そんな経験ありませんか?
急に近づいてくる、
カメラを構える、
レンズが自分に向けられる、
飼い主さんの視線が一点に集中する
こうした一連の動きが重なることで、猫は「何かされるかもしれない」と警戒してしまいます。

特に、正面からじっと見つめられるのが苦手な猫ちゃんは多く、視線を向けられるだけで警戒モードに入ってしまうこともあります。
耳を倒す、目をそらす、体の向きを変える。
それらはすべて、猫ちゃんからの「ちょっと嫌だよ」というサインです。
このサインが出たときは、無理に近づかないことがとても大切です。
「撮るぞ」という気配を猫は敏感に感じ取る

猫はとても空気を読む動物です。飼い主さんが思っている以上に、気配の変化を敏感に察知します。
「撮るぞ!」「今だ!」という気持ちが強くなるほど、その緊張感は猫にも伝わってしまいます。
寝ている猫ちゃん、
変な体勢の猫ちゃん、
「この瞬間を撮りたい!」って思ってカメラを近づけると、起きてしまう。動いてしまう。
多くの猫の飼い主さんがこのような経験をされていると思います。
逆に、
「別に今は撮らなくてもいいかな」
「ただ一緒にいるだけ」
そんな気持ちでいると、猫は不思議と落ち着いてくれます。
この気配を消すという感覚は、あとでお話しする 「待ちの時間」 にも深くつながってきます。

ちなみにですが、本当に気配を消しながら近づくと案外撮れるんです。
言葉で説明するのは難しいのですが、ついでにちょっと撮ろうかなくらいの感じで近づけば気づかれません。
これは、20年以上猫と暮らしてきて、自然と身についた感覚かもしれません。
下記にて詳しく解説もしています。
無理に撮影すると、なぜ逆効果になるのか

「どうしても撮りたい!」
その気持ちはとてもよく分かります。
でも、猫の撮影において無理に撮ることは、結果的に一番遠回りになることが多いです。
ここでは、その理由を猫ちゃんの立場から説明します。
抱っこして連れてくる撮影がストレスになる理由

猫はマイペースで、自分の意思をとても大切にします。
だからこそ、突然抱っこされて移動させられること自体が強いストレスになります。
布団に入ってきたり甘えてくるけど、抱っこは嫌い、という子はとても多いです。
たしかに、抱っこして連れてきた「その瞬間」なら写真は撮れるかもしれません。
でもそれは、猫が納得して来たわけではありません。
猫は快適な場所を見つけるプロです。冬なら暖かい場所に集まります。
それが突然、移動させられる。
「にゃぜここに!?別に好きな場所じゃにゃいんだけど」
この状態を何度も繰り返すと、猫は「捕まる=嫌なことが起きる」と学習してしまいます。
結果として、
カメラを見ただけで逃げる。
撮影の気配を感じた瞬間に隠れる。
といった行動につながってしまうんですね。
「撮影=嫌な時間」として記憶に残る

猫は、嫌だった出来事をよく覚えています。
無理に抱っこされた。
居たい場所に居させてもらえなかった。
逃げたいのに逃げられなかった。
こうした経験は、「撮影」という行為そのものと結びついて記憶されます。
一度そう覚えてしまうと、
カメラを持つ。
近づく。
視線を向ける。
それだけで警戒されるようになります。
つまり、無理に撮った1回の成功が、その後の撮影をどんどん難しくしてしまうこともあるんですね。
分かりやすい例が病院です。たった一度行っただけでしっかり覚えています。

抱っこ→ケージ→移動→病院→嫌な時間
この流れを経験すると、はじめの「抱っこ」だけで、「このあと嫌なことが起きる」と連想してしまう猫ちゃんも少なくありません。
撮影もそれと同じで、無理をすると「撮影=嫌な時間」として記憶されてしまうんですね。
怒る・叩くは論外(信頼関係が一気に崩れる)

これは言うまでもありませんが、撮影がうまくいかないからといって、怒ったり叩いたりするのは論外です。
猫は、なぜ怒られたのか、なぜ叩かれたのかを理解できません。
「この人といると、嫌にゃことが起きる」そう感じてしまいます。
信頼関係が一度崩れると、写真どころか、日常の距離感にも影響が出てしまいます。
写真はあとからいくらでも撮れます。
でも、猫との信頼関係はそう簡単には取り戻せません。
だからこそ「無理に撮らない」という選択がいちばん大切なんですね。
写真家が大切にしている“待ちの時間

猫の撮影でいちばん大切なのは猫ちゃんに対する愛情です。
次に大切なのが、カメラの性能やテクニックよりも、実は 「待てるかどうか」 だと僕は思っています。
特に出張撮影では、猫ちゃんにとって僕は知らない人。
飼い主さんと僕とでは、猫ちゃんとの信頼関係がまったく違います。
だからこそ、僕がいつも意識しているのはいきなり撮影を始めないことです。
自宅に入ってすぐカメラを構えるのではなく、まずは距離を取って、猫ちゃんの反応を見ながらゆっくり始めます。
それとは逆に、イベント形式の撮影会では、長時間になること自体が猫ちゃんの負担になる場合もあります。
そういうときは、短時間でできるだけ早く終わらせます。
出張撮影でも撮影会でも考えていることは同じです。
どうすればその猫ちゃんにとって一番いいか。それを一番に考えながら撮影をしています。
猫のペースに合わせるという考え方

出張撮影のとき、僕は無理に近づきません。
最初は少し離れた場所から望遠レンズで撮影することが多いです。
たいてい、飼い主さんの「カメラ+レンズ」よりも、僕の「カメラ+レンズ」の方が大きいです。
猫ちゃんにとって、
知らない人がいる
近い距離でじっと見られる
大きな物を向けられる
という状況は、それだけでプレッシャーになります。
なので、まずは猫ちゃんが安心できる距離感を保ちながら、こちらの存在に少しずつ慣れてもらいます。

そうやって時間をかけていると、ふとしたタイミングで、猫ちゃんのほうから出てきてくれる瞬間があります。
その「猫ちゃんから出てきてくれる瞬間」を、僕は大切に待ちます。
もちろん、猫ちゃんによってその時間は変わりますし、お出迎えしてくれる猫ちゃんもたくさんいます。
逃げたらやめる、が正解な理由

撮影に行くと、猫ちゃんが逃げてしまうこともあります。それは「僕と猫ちゃんが対面する前」が多いです。
猫ちゃんが「今日はいつもと違う」と察知している部分もあります。
でもそのときに、絶対にやらないことがあります。
それが、追いかけることです。
追いかけた瞬間に猫ちゃんの中で、
「この人は危ない」「逃げないといけない」
というスイッチが入ってしまいます。
一度そのスイッチが入ると撮影は困難になります。
逃げたら、いったん引く。戻ってきたら、また少しだけ。
これが、猫撮影では本当に大事なんですね。
「今日は撮れない日」があっていい

猫には、猫の気分があります。人間と同じで「今日は誰とも会いたくない日」だってあります。
しかも猫は気まぐれ。
こちらの予想通りに動いてくれないことのほうが多いですよね。
でも、その気まぐれさこそが猫の大きな魅力でもあります。
撮影においても、無理をしないことが、結果的に次につながることのほうが多いです。
たとえば、最初は逃げていた外猫ちゃんでも、餌をあげたりしなくても、何度か顔を合わせるうちに、自然と距離が縮まっていくことがあります。
猫は時間をかけて関係を築く生き物です。
飼い主さんと猫ちゃんとの暮らしは、これからもずっと続いていきます。
だからこそ、その関係を壊さないことのほうが、写真よりも大切だと僕は思っています。
カメラを怖がらせないためにできること

ここまで読んでいただくと、
「じゃあ、どうすればカメラを嫌がらなくなるの?」
と思われた方も多いと思います。
ここでは、「猫ちゃんのかわいい撮り方|テクニック編」でも少し触れましたが、猫ちゃんの気持ちを尊重しながらできる工夫をお伝えします。
カメラを部屋に転がして「存在に慣れてもらう」
猫がカメラを怖がる一番の理由は、「よく分からない物が、急に現れる」ことです。
なのでまずは、カメラを特別な存在にしないことが大切です。
普段から、カメラを部屋に置いておく。
撮影しない日も、そのまま置いておく。
そうすることで、猫ちゃんにとってカメラは「いつもそこにある物」になります。
いきなり出てきて向けられるよりも、存在に慣れてもらうだけで警戒心はかなり下がります。
好奇心が旺盛なのも猫ちゃんの特徴なので、カメラを出してくると「にゃんだこれは!?」と近づいてくる子もいますけどね。
おもちゃやおやつで「楽しい記憶」と結びつける

撮影の時間を、猫ちゃんにとって「嫌な時間」にしないことも大切です。
たとえば、
撮影のはじめにおやつをあげる
撮影の合間に遊ぶ
撮影が終わったあとにご褒美をあげる
こうした流れを作ることで、「撮影=ちょっと嬉しい時間」として覚えてもらえる可能性があります。
もちろん、おやつのあげすぎには注意が必要ですが、無理なく続けられる範囲で取り入れてみてください。
急に近づかず、しゃがんでゆっくり距離を縮める

猫が警戒する大きな理由のひとつが、上から急に近づかれることです。
カメラを取り出していきなり距離を詰めていくのはやめましょう。
猫が子どもを苦手とすることが多いのも、走って近づいてきたり上から急に触ろうとする動きが原因だったりします。
家猫でも外猫でも、基本は同じです。
ゆっくり動く
しゃがんで近づく(自分を小さく見せる)
近くで何もせず、しばらくその場にいる
目線を合わせすぎない
目が合ったときは、ゆっくりまばたきをする
そうしていると、猫ちゃんのほうから近づいてきてくれることがあります。
ある程度距離を縮められる子であれば、人差し指をそっと差し出してみてください。
匂いを嗅ぎに来てくれることもあります。
ここまでできると、猫ちゃんとの距離感はかなり変わってきます。
きっと、これまでよりも撮影を嫌がらなくなりますよ。
寝ている猫を撮ろうとすると起きてしまう|理由と対処法

「寝ているところを撮ろうとしただけなのに、起きて逃げてしまった」
たとえば、何気なく横を通っても起きないのに、いざ撮ろうとすると起きてしまう。
これ、猫の飼い主さんあるある、ではないでしょうか?
でも実はこれ、猫が音や触れたことに驚いているわけではないことがほとんどです。
猫は「空気」で察している
何度も書いていますが、猫は人が思っている以上にその場の空気や気配の変化を敏感に感じ取ります。
寝ているように見えても、実はうっすら起きていることも多いんですよね。熟睡はしていません。
だから、「そっと近づいたつもり」でも、猫にとってはもうその時点でバレていることがよくあります。
「別に興味ないですけど」という顔で近づく

言葉にすると少し変ですが、猫を撮るときは本当にこれが大事です。
「撮りたい!」
「今しかない!」
この気持ちを、いったん心の中にしまいます。
そして、
目線を外す
カメラをすぐに向けない
「別に用事はないですよ」という雰囲気で近づく
これだけで、猫の反応が変わることがあります。
なんだか、仙人の境地みたいな話になっていますが 笑。そこまで大袈裟な話ではなく、猫は撮られようとしていないときの方が、結果的に撮らせてくれることが多いんですよね。
「ちょっと1枚撮れたらいいかな」くらいの軽い気持ちで近づいたときのほうが、自然な寝顔や、リラックスした表情を残せています。
まとめ(最後に)

猫を撮るのが難しいのは、猫には猫の習性があり、音や気配、距離感にとても敏感な生き物だからです。
だから、
「うまく撮れない」
「逃げられてしまう」
そんな日があっても、自分を責める必要はまったくありません。
むしろ大切なのは、撮影を猫ちゃんにとっての「我慢の時間」にしないことです。
無理に撮らず、追いかけず、猫ちゃんのペースに合わせて、おもちゃやおやつを使いながら、
「にゃんだか楽しい時間だにゃ」
そう思ってもらうことです。
その延長に、飼い主さんだからこそ撮れる一枚があります。
一緒に暮らしているからこそ写せる距離感、
リラックスした表情、
何気ない日常の一コマ。
うまく撮れない日も含めて、猫ちゃんとの時間を楽しみながら、その延長線でシャッターを切ってみてください。
きっとあとから見返したとき、写真以上の「記憶」や「気持ち」が残る一枚になっているはずです。
また、雨樹一期写真事務所では、
・写真の個人レッスン
・猫ちゃん限定の出張家族撮影
・気軽に体験できるミニ撮影プラン
をご用意しています。
フィルムカメラやオールドレンズについてのブログも運営しています。
「直接教えてもらいながら撮れるようになりたい」
「自分で撮るのもいいけど、やっぱりプロにお願いしたい」
そんな方は、ぜひ一度ご検討くださいね。
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